▼ 人間科学部改組(2010年以降 春学期)後の授業 ▼
● 通学生授業
◎ 予防医学
回 |
テーマと内容 |
1 |
公衆衛生と予防医学:重要な予防医学を中心とした健康福祉医療政策 |
2 |
疾病の蔓延と克服の歴史 |
3 |
健康科学の研究法:実験と調査、疫学研究法 |
4 |
人口統計と衛生統計①:人口問題と人口静態統計 |
5 |
人口統計と衛生統計②:人口動態統計 |
6 |
環境と健康 |
7 |
私たちの健康を守るために:病気の発生と予防 |
8 |
生活習慣病の予防と健康増進①:栄養・食生活・嗜好品 |
9 |
生活習慣病の予防と健康増進②:運動とスポーツの効用、メタボリックシンドローム |
10 |
ライフサイクルと人生:生きがいのある人生を求めて①:母子保健・学校保健 |
11 |
ライフサイクルと人生:生きがいのある人生を求めて②:生活習慣病と成人病 |
12 |
ライフサイクルと人生:生きがいのある人生を求めて③:老化と高齢者の生活 |
13 |
職業と健康:産業保健 |
14 |
社会と健康:保健医療対策と衛生行政 |
15 |
教場試験 |
◎ 健康・環境と感染症
回 |
テーマと内容 |
1 |
オリエンテーション:21世紀の感染症の世界 |
2 |
感染症と人間:その壮絶な戦い |
3 |
感染症と免疫の世界① |
4 |
感染症と免疫の世界② |
5 |
日本の感染症対策 |
6 |
日本人を襲うさまざまな感染症①:ワクチンと抗菌剤の発達 |
7 |
日本人を襲うさまざまな感染症②:成人病・癌と感染症 |
8 |
日本人を襲うさまざまな感染症③:高齢者と感染症(かぜとインフルエンザ) |
9 |
終わらない性感染症とエイズ①:性感染症な蔓延、HIVはどのようにして蔓延したか |
10 |
終わらない性感染症とエイズ②:HIVの増殖と抗HIV薬、エイズと社会 |
11 |
環境の変化と感染症①:昆虫媒介感染症、きおつけて海外生活 |
12 |
環境の変化と感染症②:環境破壊と感染症、先進諸国でも新たな感染症の出現 |
13 |
21世紀の感染症の世界は①:21世紀も新たな感染症の出現・新型インフルエンザ |
14 |
21世紀の感染症の世界は②:経済の混乱・地球の温暖化と感染症、生物テロ |
15 |
教場試験 |
◎ 健康福祉医療政策実験証調査研究法 (主に1、2年生対象)
回 |
テーマと内容 |
1 |
オリエンテーション:私の紹介。予防医学を根底にした健康福祉医療政策について皆さんの自己紹介 |
2 |
人体の構造と機能(講義とビデオ) |
3 |
健康管理実習 講義と実習(血圧、尿、非侵襲式貧血調査) |
4 |
栄養調査(各自の1日分の栄養摂取量の計算とエネルギーバランス収支の計算) |
5 |
高齢者の体力測定(握力、呼吸機能、棒反射、開眼片足立ち、座位前体屈、歩行速度、BMIなどの測定) |
6 |
疲労とストレス(フリッカー、コイン投げ、労研式自記ストレス調査などによる測定) |
7 |
免疫と生態防御①講義と実習(唾液中IgAの測定、赤血球、各種白血球の観察と、
貪食・活性酸素産生能の観察) |
8 |
疫学シュミレーション実習 |
9 |
高齢者調査の実際①日本の健康増進運動、②中国・韓国における調査 |
10 |
日本の高齢者と医療・福祉(講義とビデオ:外国との比較) |
11 |
レポート作成とパワーポイント作成 |
12 |
研究発表1:1番から10 番の人(各自のテーマについてA4で4枚以上のレジメを作ってきて
15分間(パワーポイントで)発表、10分間質疑応答 |
13 |
研究発表2:11 番から21番の人 |
14 |
研究発表2:22 番から31番の人 |
15 |
町田研究室卒論生、院生研究発表会 新年会 |
● 健康福祉医療政策演習(3年次:オンデマンド授業部分は2010年度より
全面的に改定)および卒論演習(4年次)
◎ 演習Ⅰ 2010年度 春学期以降
回 |
テーマと内容 |
1 |
オリエンテーション(自己紹介) |
2 |
本づくり、面接 |
3 |
①少子高利化と人口爆発の中で |
4 |
②生命誕生 |
5 |
③乳児期 |
6 |
④幼児期 |
7 |
⑤学童前期 |
8 |
招聘講師 |
9 |
⑥学童後期 |
10 |
⑦思春期 |
11 |
⑧大学生 |
12 |
⑨職を得て |
13 |
⑩結婚?独身?多様な選択 |
14 |
発表① |
15 |
発表② |
◎ 演習Ⅰ 2010年度 秋学期以降
回 |
テーマと内容 |
1 |
⑪人生の分かれ道(中年期) |
2 |
⑫老後を見据えて(熟年期) |
3 |
⑬加齢のメカニズムと寿命 |
4 |
⑭多様な人生設計(高齢者) |
5 |
⑮米国の医療・福祉 |
6 |
招聘講師 |
7 |
⑯北欧の医療・福祉 |
8 |
⑰高齢者を支える日本の医療 |
9 |
⑱高齢者を支える日本の福祉 |
10 |
⑲21世紀を高齢者として生きる |
11 |
⑳100歳老人の生き方 |
12 |
卒論について |
13 |
発表③ |
14 |
発表④ |
15 |
研究室の研究発表会 |
○1~20は自宅でオンデマンド授業を受け、教室でそれに関するビデオを
見たのち、その両方の内容についてディスカッションを行う。
卒論演習は各自の卒論テーマに合った指導を院生とともに行います。
演習は卒論に必要な技術や論文の書き方を学びます。
<演習Ⅰ,演習ⅡA 選択において お迷いの方へ>
当研究室は下記のようなテーマに興味のある方の訪問、卒論、院生の参加者を歓迎しております。
指導方針としては、自己管理能力育成を重視しており、強制はあまりしませんが、積極的な参加を
希望します。
● eスクール(通信課程:オンデマンド)授業
演習は通学生の①から⑳までの内容とほぼ同じオンデマンド授業です。
感染症は通学生の内容とほぼ同じですがオンデマンド授業です。
いずれの授業も書き込みが重視され、書き込みが少ない場合には最終レポートの提出の有無にかかわらずFになる場合も
ありますのでご注意ください。
予防医学の実践
理工学部兼任授業「国際保健と生命倫理」(理工学部にて)火曜日4限、12月2回、1月1回担当
回 |
テーマと内容 |
1 |
オリエンテーション |
2 |
実験の基礎 |
3 |
動物実験 |
4 |
疫学シミレーション |
5 |
復習1 |
6 |
人体の構造と機能 |
7 |
健康管理 |
8 |
若い人の運動測定 |
9 |
高齢者の運動測定 |
10 |
復習2 |
11 |
栄養 |
12 |
疲労とストレス |
13 |
免疫と生体防御 |
14 |
調査の実際 |
15 |
レポート作成 |
● 理工学部兼任授業
①世界の人口問題・日本の人口問題-人口爆発と少子高齢社会が日本人の生活に与える影響
②日本の医療と世界の医療ー特に米国との比較ー
③日本の高齢者福祉と世界の高齢者福祉-特に北欧との比較ー
● 大学院
<研究指導>修士課程、博士課程:各自のテーマについて研究指導
<予防演習Ⅰ,Ⅱ>修士課程:主に各自の研究に関する抄読会形式の授業、各自の研究の進行報告、
その時期に合ったトピックス等
<講義科目:予防医学特論>「予防医学と私の足跡―実験科学と調査―」
回 |
テーマと内容 |
1 |
予防医学と私の足跡―実験科学と調査― |
2 |
生物学の進歩・環境衛生(日内リズム:動物実験) |
3 |
感染症の疫学―梅毒、日本脳炎、麻疹調査― |
4 |
重金属代謝実験(動物実験) |
5 |
カドミューム投与実験と鉱山地域の環境汚染調査 |
6 |
山村無医地区の健康管理-非A非B肝炎、ATLの血清疫学調査 |
7 |
ミネラルと健康(動物実験)、栄養調査、体力科学研究 |
8 |
適度な運動・ストレスと非特異免疫を中心とした生体防御機能(動物実験) |
9 |
河川水と水道水の比較調査、大学時代の運動と中高年の健康(質問紙法による調査) |
10 |
分子予防医学研究(動物実験による日内リズム研究を中心にして) |
11 |
狭山市と名栗村における健康増進運動:血清疫学的調査を含めた総合調査 |
12 |
天津市における健康増進運動と医療行動調査 |
13 |
天津氏におけるスピルリナ投与調査、マッサージの効果調査 |
14 |
日本・韓国における高齢者施設の感染症対策と生きがいづくりと健康 |
15 |
研究発表 |
▼ 人間科学部改組前の科目 ▼
1. 衛生学
病気を治療する臨床医学に対して病気を予防し、健康の維持増進を図る学問として衛生学・公衆衛生学がある。
この二つの学問は明確に区分できないが、歴史的経過からいって、日本では衛生学として、感染症や環境衛生など
実験室や調査を行う研究が多いのに対し、公衆衛生学は地域医療の諸問題(母子保健、学校保健、成人保健、
精神衛生、産業保健など)や人口問題、衛生行政など直接地域住民のなかに入って、または行政資料等を用いて、
健康問題に取り組む研究が多い。
ここではまず医学(特に予防医学)の歴史と衛生学・公衆衛生学の医学の中に占める地位と重要性を学んだ後、
主に環境衛生を中心とした講義を行なう。
回 |
テーマと内容 |
1 |
オリエンテーション・衛生学公衆衛生学とは |
2 |
17世紀までの医学の歴史 |
3 |
18世紀以降の歴史 |
4 |
感染の成立:病原微生物とは、感染と発病、感染症の予防 |
5 |
主要な感染症:届出伝染病を中心としたポピュラーな感染症の実態 |
6 |
最近話題となっている伝染病:エイズ、出血熱、肝炎、ガンと感染症等 |
7 |
温熱環境と健康:空気の性状の人体への影響、人体の耐熱・耐寒性 |
8 |
生気象と健康:日内リズムと健康、季節と健康、気象と健康 |
9 |
身の回りの環境問題:住居と健康、廃棄物、飲料水 |
10 |
環境保全:工業化と生態系の乱れ、日本と世界の公害問題 |
11 |
放射線と健康:電離・非電離放射線の生体影響、原発問題とエネルギー危機 |
12 |
地球環境問題:人口爆発の影響、オゾン層の破壊、地球温暖化、食料危機 |
2. 公衆衛生学
衛生学で述べたように衛生学と公衆衛生学は対になっている学問である。公衆衛生学は実際に地域住民
の中に入って保健指導を行う上での重要な知識や方法論を身に付けられるような内容を持つ。
時間の関係で疫学方法論は行わないが、興味のある人は大学院講義で「疫学・医療情報1・2」があるので
遠慮なく聴講してほしい。
回 |
テーマと内容 |
10 |
オリエンテーション・健康の保持・増進と医の倫理 |
2 |
疫学とはなにか:疫学の定義と目的、疾病の発生要因と疫学研究の成果 |
3 |
人口静態統計と生命表:日本と世界の人口問題の社会に及ぼす影響 |
4 |
人口動態統計:出生・死亡・婚姻・離婚 |
5 |
運動・休養と健康:健康づくりの為の運動とは? |
6 |
栄養と食品保健:嗜好飲料をも含めた食品と生体との関係について |
7 |
母子保健:妊娠・胎児期・新生児期・幼児期の保健 |
8 |
学校保健:伝染病対策と薬物中毒を中心として |
9 |
産業保健と精神保健:産業保健総論と疲労・ストレス・精神疾患について |
10 |
成人保健:成人病の現状と動向・対策 |
11 |
老人保健:老人特有な疾病。老人介護の現状と将来 |
12 |
衛生行政と衛生法規:日本の医療の現状と世界の医療 |
<演習I, 演習IIA 選択においてお迷いの方へ>
当研究室は下記のようなテーマに興味のある方の訪問、卒論、院生の参加者を歓迎しております。
指導方針としては、自己管理能力育成を重視しており、強制はあまりしませんが、積極的な参加を希望します。
3. 演習I
衛生学・公衆衛生学の基本的問題のうち、当研究室に関係の深い項目についての理解を深めるとともに、
原則として選択者全員に夏期休暇に行われる健康調査へ参加し、高齢者のライフスタイル
(特に運動・ストレス・栄養)と健康について考える。
授業は前期の水曜日3限と金曜日3限(科目登録時間に拘らずどれに参加しても可)に行うが夏期に
全員参加の健康調査実習を行う。
前期 |
後期 |
テーマと内容 |
第8,9回 |
第1,2回 |
前期試験の最後に近い2年生の必修科目(ないしは大多数の人が選択している科目)の日の
試験終了後に行う。実習のオリエンテーション、健康調査実習のガイダンス、面接法の予行、過去の
調査の解説等を行なう。 |
第10~12回 |
第3~5回 |
7月21. 22. 23. 24日の4日間(この内の1日参加)埼玉県名栗村で当研究室主催で行われる高齢者
健康増進運動の一環として行われる健康調査に参加する。主に面接法によるアンケート調査に参加
(8時半から2時位まで、前日宿泊可(無料)。但しこの調査に部の合宿やシーズン実技等で参加
できない人は別の方法による。) |
第1回 |
第7回 |
講義形式:運動・ストレスと活性酸素・癌 |
第2回 |
第8回 |
講義形式:忍びよる環境破壊(特に環境ホルモン・ダイオキシン) |
第3回 |
第8回 |
講義形式:大学時代の運動と熟年期のライフスタイルと健康 |
第4回 |
第9回 |
講義形式:忍びよる感染症(特にAIDSと最近問題になっている感染症について) |
第5回 |
第10回 |
パソコン実習:データ処理法 |
第6回 |
第11回 |
パソコン実習;実験や調査で使う簡単な統計処理 |
第7回 |
第12回 |
講義形式:高齢者の健康・ライフスタイル |
4. 演習 IIA
将来、研究活動、国内・国外の保健活動(公務員等の行政)および健康問題や環境科学を生かして各種企業に進むこと
を希望する学生が、問題解決能力や活動のすすめ方を養い、さらには実験手技を身につけられるようなトレーニングを行う。
頻回の実験実習により健康問題や環境問題についての理解を深めるとともに、実験のテクニック、仕事に対するきちんとした
対応、データのまとめ方、レポート作製法を学ぶとともに、将来どの分野に進んでも必要な忍耐力、的確な判断力や行動力の
育成を図る。
なお、各自の進路に考慮し、規定どおりの1コマ(火曜3限)で終わるコース(Aコース)とAコースに引き続きさらに1コマ以上の
時間を使い最後まで実験を行うコース(Bコース)に分ける。
回 |
テーマと内容 |
1 |
演習IIAオリエンテーション |
2 |
実験の基礎1:説明、ピペット操作、洗浄法、天秤操作、廃棄物処理の方法等 |
3 |
実験の基礎2:PHメーター、遠心機、分光光度計、抽出・濾過 |
4 |
実験の基礎3:動物(ラット、マウス)実験法(保持法、注射法、採血法) |
5 |
実験の基礎4:動物の麻酔法と解剖・人体と健康・栄養調査プリント配布 |
6 |
疲労と健康のための運動1:疲労の測定と栄養調査の実際 |
7 |
疲労と健康のための運動2:生体測定と体力測定 |
8 |
疲労と健康のための運動3:運動負荷と循環代謝機能の測定 |
9 |
健康管理実習1:活性酸素産生能の測定・各種血液成分の測定 |
10 |
健康管理実習2:各種尿中成分の測定と血圧(聴診法・自動法)測定 |
11 |
環境科学実習1:水質調査(水道法常用試験により測定) |
12 |
夏期調査参加(主に機能検査担当) |
回 |
テーマと内容 |
13 |
環境科学実習2:疫学シミュレーション(食中毒の原因追及)・卒論の説明会 |
14 |
夏休みの抄読会 |
15 |
環境科学実習3:空気の物理・科学的性質(気象と公害に関する項目) |
16 |
卒論決定、細胞培養実験(バイオテクノロジーの基礎)説明と準備 |
17 |
環境科学実習4:細胞培養(Hela細胞)に与える汚染物質の影響 |
18 |
環境科学実習5:食品添加物(合成着色料の分離)・微生物学実習の説明と準備 |
19 |
微生物学実習1:細菌の特性、消毒法による除菌効果測定、抗生物質の効果判定 |
20 |
微生物学実習2:前週の結果の判定と細菌の染色・検鏡、機材の滅菌 |
21 |
ウイルス免疫学実習1:セルロース膜電気泳動による免疫グロブリンの定量 |
22 |
ウイルス免疫学実習2:免疫電気泳動による血清蛋白の分離同定 |
23 |
ウイルス免疫学実習3:特異免疫抗体価(ムンプスHI抗体価)の定量 |
24 |
冬休みの課題の抄読会 |
5.演習 IIB
演習1および IIAで学んだ知識や調査、実験手技を用いて実際に何等かの調査や実験を行い卒業論文にまとめる
ための具体的指導と就職試験に聞かれると思われる人間科学とスポーツ科学や衛生学・公衆衛生学に関する問題
について講義あるいは発表形式で学んでいく。
回 |
テーマと内容 |
前期 1 |
春休み抄読会 国民衛生の動向の本の抄読 |
2 |
同上 |
3 |
人間科学とスポーツ科学・公衆衛生 |
4~ |
卒論のテーマごとの学習会(抄読会。発表会)
就職試験と重なるため5、6月は動物班を除き行わない。7月から集中的に行う。 |
後期 1 |
卒論中間発表会(9月) |
2 |
同上 |
3 |
卒業論文のまとめかた1・主にデータ集計、統計処理(10月初旬) |
4 |
同上 |
5 |
卒業論文の書き方(10月中旬) |
6・7 |
卒論のテーマごとの本の実験・調査結果の検討会(10月中旬から11月中旬) |
8 |
各自の卒論の結果・考察のチェック(11月下旬) |
9 |
卒業論文全体の最終チェック(12月上旬) |
10~12 |
卒論発表会(1月) |
1. 環境保健学演習(I)・(II)
本演習は人間をとりまく広範囲の環境がヒトの疾病の予防と健康の維持・増進に及ぼす影響を調査・実験・
データ解析等多面的視点から研究していくための基本的理解と実際的方法の習得を目的とする。
そのためには病原因子および環境側因子としての環境科学、生気象学、微生物学、人類生態学、医療・
福祉問題等、又宿主側要因としてのヒトの構造と機能と疾病、生体の防御機能(免疫学)、加齢に伴う生体の
変化、健康の保持・増進、栄養学・体力医学等の各要因に対して理解を深める必要がある。
そこで、「環境保健学演習(I)及び(II)」ではこれらの要因に対して学習していくことを目的として、これら要因に
関する講義とそれに対するディスカッションを中心にして行っていく。
演習(I)と演習(II)はテーマが隔年で変わる。1998年度は主に宿主側要因について、1999年度は病原側因子及び
環境側因子について行う。授業は教員と学生(各人は発表は、前期、後期1回、環境保健の研究指導以外の受講者は
各自の研究テーマの発表でも可)が交互に行う。
なお、環境保健学での研究指導としては、ライフスタイルと免疫能を中心とした生体防御機能(動物実験)、
高齢者の健康増進運動(血清疫学調査と面接調査により、ライフスタイルと生体防御機能との関係把握とともに
レセプト分析による医療費に及ぼす影響を視点に入れている)および環境と健康に関するフィールド調査を行っている。
2. 疫学・医療情報I、II
疫学という言葉は近年新聞紙上で頻繁に使われるようになり、一般の人にもかなり浸透してきた。微生物の本体の
分からない時代にその原因と対策を示したのも、色々な原因が絡み合う成人病や難病の各種原因を明らかにしたのも、
原因のわからない医原病や公害病の汚染物質等を明らかにしたのも、また新しいところではエイズの原因を明らかに
したのも疫学的成果によるものである。
近年疫学の応用は単に疾病の原因の発見のみならず、あらゆる未知の要因の解明やその対策に使われるようになり、
公衆衛生の分野にとどまらず、臨床医学、環境科学、スポーツ科学、心理学、社会学の分野においてもその方法論は
重要な手法になっている。そこで本科目はその1で疫学調査や社会調査でよく使われる調査方法や解析方法の
具体的指導を行い、その2でそれらの手法を用いた具体例を示しながらその使い方の解説や問題点について文科系の
人にもわかりやすく説明する。
疫学情報1及びは水曜日の2限(I)、3限(II)に以下の同一の講師により行われる。(括弧内の左がI,右がIIの内容を示す・
あいうえお順)。縣俊彦(疫学研究解析法、健康管理)、稲葉裕(全国規模データの解析、難病の疫学)、牧野国義
(環境と情報の保健学)、町田和彦(疫学概論、血清疫学・高齢者調査の実際、日本と世界の医療・介護情報)、
丸井英二(外国での調査解析、国際医療情報)、三宅由子(臨床データ解析、精神神経疾患)。これらの授業はいずれも
それらの分野で実際に研究を行っている専門家があたるので、皆さんの研究上必要とする解析方法で疑問点があったら
積極的に聞いてください。
なお、この授業はIのみ、IIのみ、I・II両方のいずれの選択でも特に問題になることはありません。
また、生命科学、健康科学いずれのひとも自由に選択してください。
3. 環境保健学
21世紀の日本は人類がかって経験しなかったほどの急速な高齢化社会と様々な要因による地球環境の悪化が現実の
ものとなることが予想される。そのため、環境保健学では人間をとりまく各種外部要因(汚染物質、栄養、運動、ストレス等)
と我々の生命を維持する内部環境との関係を血清疫学的手法と生体防御機能である貪食・殺菌能、非特異、特異免疫能
の測定等の生化学的手法を用いて明らかにすることを研究指導の主体とする。また、地球環境問題のような大学内での
研究では難しいテーマについては、他の国立研究機関との共同研究も可能である。
現在行われているテーマとしては動物実験(運動、ストレス、栄養などの生体防御機能に与える影響)、高齢者の健康
増進運動(面接調査と血清疫学調査による。特にこのフィールドを使い健康増進運動の効果の把握の一環としてレセプトの
分析による医療費に与える影響も今年度より研究項目にいれる)、激しい運動の生体防御機能に及ぼす影響、大学時代の
運動と熟年期の健康とライフスタイル(アンケート調査)、飲料水に関する実態調査と生体影響などがあげられる。
Copyright (C) Lab. of Enviornmental Health, Graduate School of Human Sciences,
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